日々仕事をしていくうえでは、様々な人たちとコミュニケーションを図らなければいけません。自分の意見と相手の意見、企業の意見と住民の意見など、ビジネスを行ううえで “対立” は必ずでてきます。そんなとき、真っ向からこちらの意見ばかりを主張していては話は前に進まないことの方が多いでしょう。
「社員の反対派を黙らせるにはどうしたら・・・」
「この案件の実行にはなんとしても相手側を黙らせないと・・・」
そんな悩みを抱えながら出口のないトンネルにハマっていくビジネスパーソンは少なくありません。
今回は、反対派の相手を黙らせる心理!圧倒的多数派の壁も突き崩す3つの方法をクリップタイムしていきます。
圧倒的多数派の壁も突き崩す3つの方法
何かを立案したときや、新しいビジネスを始めるときなどは、相手の反対がつきものです。その提案がどれだけ素晴らしいモノであっても、反対してくる相手は必ずでてきますよね。
- 反対意見ばかり言いやがって・・・
- でもこれを黙らせないと先に進めない・・・
こんな苛立ちを隠せないあなたへ、特別授業を始めます。
反対派の集団は一枚岩ではない、それぞれに温度があることを知れ
1対100のケンカと聞くと、普通に考えれば1人の方が負けるのは確実です。しかし、ビジネスで意見や意向を通す場合には、単純に数が多いほうが有利とは限りません。むしろ方法次第では1人の方が有利に傾くこともあります。
私たちもよく知っている、某大手スーパーの経営者S氏は、この方法をよく理解して実戦に活かしています。
大手スーパーの出店時には、必ずと言っていいほど地元商店街の住民と対立しています。大手スーパーに出店されると、地元の商店街は「値段」「品揃え」ともに到底太刀打ちできる状況ではなくなります。地元客のほとんどが大型スーパーに流れ、いままで細々とやりくりしてきた商店街にとっては、経営を揺るがしかねない大事件なのです。
そんなわけで、必ずと言っていいほどスーパー出店の反対運動が起こるのですが、これに対してスーパー経営陣は、ことごとく反対運動を押さえ、出店を実現させて今に至っています。
そんなことができたのは、地元商店街の反対派が大勢なのに対して、スーパー側はワンマン経営者がいっさいの決定権を握っていたからと言えます。ワンマン経営で、経営者が1人で決めているわけなので、「ここに新規店を出す!」と決めたらその意見が変わることはありません。ところが、反対派はそうはいきません。
大勢いるからこそ、その思惑もそれぞれで、「絶対に反対!」という人もいれば、「条件次第ではOKかな」という人もいます。なかには補償金目当ての地元民もいるでしょう。そうしたなか、反対派はだんだんお互い疑心暗鬼に陥り、だんだんと意見が分裂してくるのです。スーパー側は、じっくりそうなるのを待ち、しばらくしてから弱いところを狙っていくわけです。
多数派の反対派には、このような ”もろさ” があります。
いっけん多数派が強いと見えるのは、「多数派」といった集団で見ているからです。大勢いる多数派も、所詮は一人一人から成り立っているだけ。全く恐れることなどありません。むしろ、一枚岩ではないと考え、分裂するように図ればいいのです。
例えば、一人に意見を聞き、また別の人に意見を言わせる。詳しく聞けば聞くほど、それぞれの意見に違う部分が出てくるはずです。すかさずその点を指摘し、お互い仲間と思っていたのに、実は考えが違っていることを相手に気づかせるのです。
そうなってくれば、もうその相手側は、多数派でも集団でもなんでもなくなります。だたの一人一人が同じ側に立っているだけの状態に変わり、分裂から納得させることは難しいことではなくなります。
ビジネスシーンにおいても、提案や意見に反対派が生まれ、その相手を黙らせたいときには、反対派の集団を相手にするのではなく、一人一人を相手にして崩していきましょう。場合によっては思ったより簡単に寝返る相手も出てくると思います。
生理的欲求を操作して相手を黙らせろ
赤ちゃんが泣くときには、たいてい理由があります。眠たかったり、お腹がすいていたり、おむつが濡れているなど。なので、寝かしつけたり、ミルクを与えたり、おむつを交換すると泣き止みます。どれも、 “生理的欲求” が満たされたことにより泣き止むのですが、これは大の大人でも同じようなことが言えます。
大人が生理的欲求が満たされていないとき、赤ちゃんのように泣きはしないまでも、人は不快になります。空腹のときや睡眠不足のときにイライラしてくるのは、この現象が起きているからです。
この心理現象を上手く活用した事例が、アメリカ政府の対策にありました。
アメリカの反戦デモ隊が勢いを増してきたころ、ワシントンのモニュメント広場では、大規模な反戦デモが行われていました。
その前日に政府当局は、広場周辺に簡易トイレを設置したり、水飲み場や公衆電話を設置したのです。さらにラジオやテレビでは、「明日の集会は10時からなので、今日はゆっくり休みましょう。朝起きたら、体力をつけるために十分な食事や水分補給を行いましょう」といった呼びかけを行いました。
これは、デモ隊の生理的欲求を満たすことで、少しでも不満を押さえようという作戦。デモ隊に集まっている人間は、みんな戦争に対する憎しみや怒りに燃えています。そんな状況に睡眠不足や空腹、トイレに行きたくても行けないといった状態が重なっては、怒りはさらに大きくなり、暴動も勢力を増しかねません。
そうした大事態を避けるために、政府は数々のライフラインの設置を実行したというわけで、この準備が功を奏し、翌日のデモは大きな暴動も混乱もなく反対派の相手側を黙らせることができたのです。政府側の ”作戦勝ち” というわけです。
この方法を上手く活用すれば、ビジネス交渉に入るときなども、最低限相手の生理的欲求を満たしてあげることは必要被可決なことだということがわかります。長丁場の交渉事で、食事やトイレを我慢していたのでは、まとまる話もまとまりません。
交渉が長引きそうなときや、相手が空腹そうなときは、一旦話を中断して、食事をとるのもひとつの手でしょう。空腹が満たされると、相手の怒りも収まり、黙らせることもそう難しくはなくなります。
意見が違う相手を黙らせるには、このような方法で相手の欲求をコントロールしてやりましょう。
食事療法でこちらの意見に同調させろ
他人と親しくなるには、一緒に酒を飲んだり食事をとったりすることが一番効果的です。この食事や酒を共にする方法には、相手の心を開かせる効果があり、結果的に相手を黙らせることも可能になってきます。
人間は、食事をとっているときはリラックスした気分になり、他人に対する警戒心が弱まる生き物です。
これは意見に対しても同様で、食事中に聞いた意見は、何も食べてないときに聞いたものと比べ、相手に受け入れられやすいという実験結果があるほどです。
アメリカで行われた実験で、被験者に4つのテーマについての論文を読んでもらうというもの。 このとき被験者は、
に分けられた。 論文のテーマは、
といった内容。 それぞれの論文の内容は、被験者がもともと抱いている意見と対立する内容になるよう調整され、被験者が論文を読んだ後、意見にどのような変化が現れるかを調べたのです。 すると結果は、いずれのテーマについても、スナック菓子を食べながら読んでいたグループの方が、意見を変えるケースが多かったのです。 |
人間は、なにかを食べながら説得させると、その意見に同調しやすくなる生き物なのです。結果的に相手を黙らせる状況が、この方法によって生まれるというわけですね。
相手が日本人なら、これに酒が加わることで、さらに効果を期待できます。私たち日本人は、いつもは本音で話したりしないくせに、お酒が入った途端に開放的になり、本音を言うようになる人種です。普段は他人の体を触らないような人でも、酒を飲むといきなり肩を組んだりするものです。
こちらの意見を聞かない相手には、とにかく食事や酒の場に連れ出すことで、説得の近道になり、相手の意見を黙らせることにも繋がります。それだけで、相手を説得できる確率は格段に高まるでしょう。
真っ向から闘う”フリ”をすれば結果は見えてくる
このように、意見が違う相手を黙らせる方法を解説しましたが、ポイントは、真っ向から闘っている ”フリ” をしながら行動することです。
あたかも対立している様子はそのままにしておきながら、相手の心理をくすぶるのです。そうすれば、相手が勝手にこちらの説得や要望を受け入れ、結果黙らせることができるはずです。
ビジネスにおいて心理は最大の味方であり最大の敵です。この方法を上手く活用して、大事なビジネスチャンスを逃さないように心がけましょう。