『人間関係がなかなかうまくいかない』
『どうしても相手を説得させられない』
『どれだけ頑張っても仕事で結果が出せない』
・・・・・そんな悩みを抱えながら日々を過ごしている人は多いです。
が、それはあなた自身が知らず知らずのうちに相手に付け込まれていたり、利用させれてきた結果かもしれません。相手の本心を見抜き、人の心を操ることができたならどれだけ楽か、そんなことを考えてしまうのもよく分かります。
しかし、あきらめるのは早過ぎです。それらは、心理学という「人間社会における最大の科学」によって生まれたテクニックによって解消できます。
今回は、人間心理を使って営業力を身に着ける!図太く生きぬくための心理テクニックについてクリップタイムしていきます。
煮え切らない相手に即決させる13の営業力
人の気持ちや行動は、無意識の深層心理に突き動かされています。
結論から言うと、そこに狙いを絞って働きかけることができれば、おのずと相手をたやすく操作できるような営業力が身につきます。逆に言えば、営業力を強化したいのならその方法を覚えないと一向に向上しません。
- 相手の本心や弱み、そういった目には見えない部分を見抜き、それを逆手にとって狙い通りに動かすにはどうすべきか?
- 相手が気づかないうちにプレッシャーを与え、考えを変えさせ、自分の意見に沿うように誘導していくにはどうすべきか?
そんなし悩みを抱えているあなたへ、営業力を強化する特別授業を始めます。
こちらの要望をいつの間にか承諾させる営業力とは
「高額のダイエット教材を買わされた」
「高額の脱毛サロンの会員にされてしまった」
と、少々詐欺まがいの商法に引っかかる人はあとを絶ちません。
正直、なぜそんなバカバカしい契約をたやすくしてしまうのかに疑問を感じずにはいられませんが、そこは売り手側もプロです。人間心理の奥底を心得て、あらゆる営業力を駆使して襲い掛かってくるのです。
そのひとつが「フット・イン・ザ・ドア」というテクニック。
「フット・イン・ザ・ドア」とは、「まずドアに足を入れる」という意味ですが、最初に些細な要望を通してしまえば、あとから大きな要望を通しやすくなるという意味が込められている心理用語です。
ダイエット教材や脱毛サロンの勧誘にも、このテクニックが実に上手に応用されています。
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このとき、「1、2分のアンケート」という小さな要望を承諾した相手は、すでに「事務所に行く」という次の要望を承諾しやすい心理状態になっています。そして「事務所に行く」という要望を承諾した相手は、今度は「商品を買う」という要望にもイエスと言いやすい心理状態になります。
こうした小さなイエスの繰り返しのなか、流れで契約書にもサインしてしまい、あとから「やられたー!!」と後悔することになるのです。こうした営業力(人間心理を用いたテクニック)は、1966年にアメリカの社会心理学者であるフリードマンとフレイザーが行った心理実験でも確かめられています。
これは主婦156人を対象にしたもので、
最終的な要望は「5~6人の男性調査員が自宅に訪問し、2時間ほどその家で使っている品物を分類調査する」というなんとも面倒かつ失礼な要望に最終的に応じてもらえるかを検証したものです。
この最終要望にあたって、以下の4つの方法に分けて実験が行われました。
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以上の4つのパターンで実験を行い、主婦たちが「5~6人の男性調査員が自宅に訪問し、2時間ほどその家で使っている品物を分類調査する」という要望を受け入れてくれるかどうかを調べたものです。
すると結果は、最初に石けんに関するアンケートに答えてもらった主婦が、4日後の大きな要望もOKするという確率がもっとも高く、全体の53%が承諾したのです。
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やはり、最初に”小さな要望”を承諾した主婦ほど、そのあとの”大きな要望”にも承諾しやすかったという結果になりました。
『これはちょっと無理かなぁ』と思う要望を相手に提示するときには、その前にまず簡単な頼みごとをして承諾させることで、次の本来の要望を承諾させやすくなるということなのです。こういった営業力(人間心理を用いたテクニック)は、対面で対応する保険の営業マンなどにも多く使われています。
実戦的な営業力を強化したいなら、こういったステップは是非活用したい心理テクニックです。
誰もが嫌がる仕事を引き受けてもらう営業力
世の中には、皆があまり引き受けたがらない仕事や役割ってありますよね。
PTAの役員や社内飲み会の幹事など、上げればきりがない。
時間がとられてしまうから面倒だということもあるし、なんかあった時の責任をとるなんて立場も非常に迷惑な話です。
だからみんな「いやぁ、私はちょっとぉ・・・」と腰が引けてしまうものです。
そんなとき、「そんなこと言わずに引き受けてくださいよー!」なんて言葉は完全に逆効果です。
無理強いすればするほど相手は、「その日は仕事が・・・」「親との約束があって・・・」などと、できない理由をマシンガンのように並べてくるはずです。
むしろそんな時は、無理に頼まずに相手に下駄を預けてしまうのです。
「それでは後日連絡しますので、ゆっくり考えてみてもらえませんか?」と言って引き下がってしまいましょう。
そんなことをすれば、ますます断る口実を考える時間を与えているだけのようですが、実はそうではありません。その方が、より良い返事をもらえる確率が格段に上がります。
”人間は考える時間を余裕をもって与えられた方が、承諾する方向に心理的決断が向かいやすく”なります。
これは記憶のメカニズムと関係していて、人は何かを記憶するとき、まずそれを好きか嫌いかに分けることで、脳の中にインプットしていきます。しかし、人間心理は単純に好きか嫌いかに分類できるわけではなく、大抵の事柄には”好き”な部分と”嫌い”な部分の両面が存在します。
たとえ「無理ですうううううううー!」と言っていたPTAの役員でも、少しは「やってみたい」という部分があるものです。「先生と親しくなればなにかと得があるんじゃないか」「誰かがやらないと結局困るのは子供達だしなぁ・・・」といった部分ですね。もちろんそこには、「面倒」「時間ない」などといった”嫌い”な部分も存在します。
そんなとき、決断までに時間を与えられると、脳の中でそれらの要素がさらに整理・分類されていくうちに、”嫌い”な部分の印象はだんだんと薄くなり、逆に”好き”な部分に対する気持ちは強くなりやすくなります。
つまり、「ゆっくり考えてみてもらえませんか?」と時間を与えられると、その面倒な仕事や役割に対する”好き”の部分が大きくなり、時間が経つと「引き受けてもいいかなぁ」という気分になってくるものなのです。
なので、その事柄について相手に少しでも”好き”という部分が見えるようなら、時間がかかっても相手に下駄を預け、考える時間を与えることでおのずと良い結果が生まれるということ。
そうすると、”相手の気持ちをOKの方向へコントロールできる確率が格段に上がります”よ。
頼みごとをする日は天気予報を見逃すな
ビジネスマンが、「今日は雨だから、やる気スイッチオフー!」といって会社を休めば、上司から蹴っ飛ばされることは間違いありません。困ったことに天候に関係なく働くのがサラリーマンというものです。
しかし、雨などの天候の悪い日には、途端に効率が落ちる仕事もあるはずです。
街頭でのアンケート調査などが思い浮かびますね。
そういった悪天候の日には、相手からOKをもらえる確率が格段に下がります。
そんなことを調査したのは、アメリカの心理学者カニンガム氏。彼は、さまざまな天気の日に屋外で頼みごとをしたとき、相手がどのぐらい承諾してれるかを調査しました。なんとも心理学の調査とは手間がかかったものですね。
その結果、季節や天候によって、承諾率には大きな違いが出ることが明らかになりました。
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もっともこれは、屋外で知らない人に頼みごとをする場合の話であって、相手が違えば話も変わってきます。特に相手が日本人の場合、どうしても聞き入れてほしい頼みごとをする時は悪天候の日を選んだ方がいいかもしれません。
例えばどうしてもお金を貸してほしいとか、成立させたい商談があるときなど、こんなときは、晴れた日を選ぶよりは雨の日や風の強い日など天候の悪い日を選んだ方がいいでしょう。
そんな悪天候をおしてまで訪ねてこられると、相手は「こんな日にわざわざ来てもらって、申し訳ない」という気持ちになります。そこに負い目が生まれ、頼みごとを引き受けないと悪いような気がしてくるのです。
もちろん悪天候の中わざわざ訪問すれば、「自分にはどうしてもあなたに会いたかった理由があります」という切羽詰まった思いを伝えることもできます。そこから相手の情を引き出していくというわけですね。
そう考えると、天気に応じて仕事や頼みごとの内容を変えられる人が、本物の交渉上手といえそうですね。
小さな貸しを作れ!さすれば相手はこちらを裏切れなくなる
相手に対して小さな“貸し”を作っておくと、その“貸し”が相手にとって”弱み”となり、その後に大きな要望を承諾させやすくなるというのは、以下の心理実験で検証が行われました。
二人ずつペアを組ませ、美術品の鑑賞をしてもらう。このとき、一人は用意したサクラで、もう一人が対象者として実験開始。
このときの行動に二つのパターンを用意。
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そして美術品鑑賞が終わったあと、サクラが対象者に、「くじ引きつきのチケットを何枚でもいいからできるだけ多く買ってくれない?」と頼む。このときに何枚買ってくれるのかを調査した実験を行いました。
結果は、飲み物を買ってきてもらった対象者の方が、飲み物を買ってもらわなかった対象者に比べて二倍の数のチケットを買ったのです。「飲み物を買ってきてもらった」という小さな負い目が、より多くのチケットを買おうという気持ちに繋がったわけです。
こうした人間心理は、「返報性のルール」と呼ばれていて、人間は相手から受けた恩や借りはなるべく返したいと思う生き物なのです。
例えばバレンタインデーや誕生日に、保険屋さんのおばちゃんがチョコをわざわざプレゼントしてくれたりするのも、その見返りとして保険に入ってくれることをあのおばちゃん達はひそかに狙っているのです。機会があるたびに相手にできるだけ多く小さな恩を売っておくことで、その後の展開になにかと好都合な状態を作ることができるというわけですね。
何気ない日の何気ないプレゼント、残業のちょっとした手伝いなど、日常生活のなかでなにかと貸しを作っておけば、いざというときに相手はこちらの要望を承諾せざるをえなくなるのです。取引先の担当者や社内の同僚にも、少しの貸しを与えている状況を保てれば、自分のビジネスシーンで手助けしてくれるかもしれないですよ。
優柔不断な奴には自分で選ばせろ
いまは彼氏の服を彼女が選ぶなんてことも珍しくはありません。自分ひとりでは流行りもわからないので、彼女に一緒にコーディネートを選んでもらおうというわけです。こんなとき、カップルの行動タイプは大きく分けて二通りに分かれます。
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なかなか決まらない方のカップルを観察してみると、彼女が「これはどう?」ともってくるのですが、彼氏の方は「うーん、どうかなぁ。。。」と言いながら良いとも悪いとも言わない、別の服を彼女が持ってきてくれても「うーん。。」と言うばかり。そんなことを繰り返していては日が暮れ、結局買わずに店をあとにするなんともくだらないカップル。
もう片方のカップルは、彼女がまず2~3種類の洋服を選んでもってくる、「こっちとこっちならどっちがいい?」という具合いにどんどん選択させていく。「黒と茶色ならどっちがいい?」「ファスナーとボタンだったらどっち?」などと条件提示をしてどんどん絞っていく。そうして最後には絞られた中から2つほど残して、「どっちがいい?」と最終決定させる。これでサクッと買う洋服が決まりさっさと帰っていく。
この明確な選択肢の中から相手に選ばせるという心理テクニックは、優柔不断な相手に意思決定をさせるには非常に効果的な方法です。
優柔不断な相手になにかを決めさせるときには、「どれにしますか?」ではなく、「こちらとこちらだったらどっちがいいですか?」と聞くと決断が早まります。
この場合彼氏の方は、「彼女に決めてもらった」のではなく「自分で決めた」と思います。このように二者択一で相手に判断をゆだねていくと、本人は「自分で決めた」と錯覚でき、押し付けられた感も出ないのでとても状況がスムーズに運びます。
相手に決めさせたうえに納得してもらうには、選択肢を提示して相手に選択させていくというのが、営業力をもったビジネスマンもよく理解している心理テクニックです。
自分の意見を通したいなら権威のカサを使え
単に「権威をカサに着る」というと非常に悪いイメージがあります。うちの親は医者だから、自分は有名大学卒だからなどと偉そうな人間にたいしては周りの評価は良いとは言えません。
しかし、相手と議論を交わす際にはこの「権威のカサ着せ」はとても大きな効果を発揮します。
例えば会社の商品をプレゼンテーションする際などに、「この商品はとてもいい商品なので必ず売れます!」などと自社の考えばかりを主張するよりは、「東京大学が発表した現在の消費者志向によると」と権威をカサに着たほうが、相手を説得しやすくなります。
テレホンショッピングやネット通販などではこの心理テクニックが多用されています。
「あの有名歌手〇〇さんも愛用の健康サプリ!」「モデルの〇〇お墨付き!ダイエット食品!」など、ターゲットである消費者の興味がある権威者を使い、「あの人も使ってるなら私も使ってみようかな」と思わせるのです。
このような心理効果について、アメリカの心理学者アロンソンが次のような実験を行っています。
アメリカの学生を集め、素人が書いたヘッタクソな詩を二つ読ませる。そして読ませたあと、その二つの詩の評論をディベートしてもらうといった実験です。しかし二つの詩にはそれぞれ、
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のように、違う説明を付け加えました。
ただ、有名詩人が書いたというのは全くのウソで、どちらもど素人が書いた詩を読ませました。
そしてそのディベートの内容は、予想通り①の有名詩人が書いたものとウソの説明を受けた方を高く評価する傾向が強い内容でした。たとえ、自分にとってはワケのわからない詩であっても、有名な詩人T・S・エリオットが書いた詩なのだからこれはきっととても良い詩なんだろう。と、目に見えない”権威”に惑わされ評価してしまったのです。
こういった人間心理をしっかり理解しておけば、あらゆる議論に勝つことは比較的簡単になります。相手が興味がある・尊敬しているような”権威”の名前を使い、「あの人もこう言ってるよ」「そういえばあの有名人もこんなこと言った」などとさり気なく言えばいいのです。
その使った”権威”が、相手が興味がある相手であればあるほど、相手の意見に与える影響力は増します。たとえ最初は違う意見を持っていたとしても、だんだん自分の意見に自信がなくなり、こちらの意見の方が正しいのではないかと思い始めてきますから。
どんなビジネスシーンにも、議論が必ず付きまといます。そんなときこの「権威のカサ着せ」のような心理テクニックを持ち合わせていると、ビジネスチャンスが大きく発展していくかもしれないですね。
発言の順番があなたの営業力を決める
フィギュアスケートの選手権などを見ていると、最初に演技する選手に最も良い点数がつくことは滅多にありません。解説者も「一番手の選手は不利ですよねぇ」などと言うほどです。
これは、最初の選手の演技がその大会の基準となりやすい傾向があるからと言われています。
二番目以降の選手は、最初の選手の演技と比べて良い悪いが判断され、実際には同じような演技だったとしても、三番目四番目と演技が重なるにつれ最初の選手の印象がだんだんと薄くなり、あとにくる選手の方が強い印象として残っていくからと言えます。
同じようなことは現代のビジネス社会にも言えることで、会社の会議や取引先との商談の場など、複数の人間が集まり一つのことを議論するようなシーンでは、最後に発言した人の意見はその場で最も支持を得やすくなります。
アメリカの心理学者N・H・アンダーソンはこんな実験を行っています。ある事件を素材にした模擬裁判を行い、証言の順番によって陪審員の判断がどう変化するかを調べた実験です。
この実験では、
- 弁護側から六人、検察側から六人の証人を出し、不公平にならないよう文章の長さはどの証言も同じに設定する。
- そうして証言の順番を二通りのやり方でそれぞれ別のの陪審員に聞かせる。
という実験を行いました。
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結果は、どちらの場合も最後に証言した側を陪審員は支持する傾向に傾きました。
つまり、最後に示される意見ほど印象に残りやすく、周りからの支持を受けやすいということが分かったのです。
そうなると、やはり会社の会議や取引先との商談の場など、複数の人間が集まり一つのことを議論するようなシーンでは、最初にでた意見は最終的には支持を得にくいということになり、自分の意見や主張を通したい場では、最後までそれをとっておき、終了間際になってここぞとばかりに発言するのがいいでしょう。すると参加者たちは、その発言を支持し賛同される可能性が非常に高くなります。
プレゼンの順番や営業会議の発言などにこの心理テクニックを応用出来たら、おのずとあなたの営業力は変わってくるでしょう。
マイナス要素は全てオープンにしろ
商談ごとや契約などの大事な場面では、つい悪いことを伏せてしまうビジネスマンがいます。
「これを言ったらこの商談が、、、」「これを伝えたらこの契約が、、、」なんて考えれば考えるほどどんどん言えないスパイラルに陥ってしまうのです。
例えば、結婚前と結婚後の態度が急変する男性っていますよね。結婚前は服装やメイク、髪型やネイルのことを良く褒めてくれていたのに、結婚したとたんそのようなサービスが一切なくなる人がいます。
毎日残業ばかりで休日は家の中でグダグダゴロゴロ。髪を切っても一向に気づいてくれる気配すらない。そんな旦那の態度を見て、「私はあなたの家政婦じゃない!」と実家に帰ったり、離婚をつきつけたりする妻もいるほどです。
これは、女性心理を理解していない男性側の大きな”戦略ミス”なのです。
旦那としてみれば、「結婚したら今までのように恋人気分じゃいられない」「子供ができて家庭を守るためもっと働かなくちゃ」などと言い分はたくさんあるでしょう。しかし妻は、結婚する前にそんな話は聞いていない。それなのに旦那の態度がガラっと変わる事に対し不信感を抱くのです。
たとえば、結婚前にこのように話しておけば、事態は変わったでしょう。
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などと、結婚後に予想させるマイナスな状態をあらかじめ伝えておくことで、妻の方にも覚悟ができ、いざ旦那の態度が変化したとしても、理解しようとする頭が働くのです。
あらかじめマイナスな情報を与えておくと、相手にも気持ちの準備ができ、本当にマイナスな場面に直面したときにも、その状況を受け入れやすくなる。心理学の世界で私たちはこれを、インフルエンザなどの予防接種に例えて「接種理論」と呼んでいます。
これをビジネス社会に例えると、商談や契約などの大事な場面では、プラスの情報ばかりを伝えて話を進めていくと、いざマイナスの情報を聞かされたとき相手は「そんな話は聞いてない!」となり、不信感が高まり「この話はなかったことで。」となってしまいます。
それよりも、こちらからあらかじめマイナスの情報は全て伝えてしまい、「このマイナス課題はこのようにカバーしていきます」とそのマイナス情報に対しての対策案を伝えることで、結果マイナス状況に至ったとしても、相手にはすでに”免疫”がついてますので、落ち着いて反応してくれ、それが原因で話が破談になる心配はなくなるわけです。
これは、営業力を試される商談ごとでは、非常に大事な心理テクニックと言えますね。
「〇〇でもいいですから」はブラック営業力
時にずうずうしいお願いをしてくる人は意外と多い。友だちとファミレスで食事をしているとき、「一口ちょーだい」などが代表的ですね。
街頭の募金活動などもそれと近いものがあります。駅で寄付を求められたとき、すぐさま立ち止まって募金箱にお金を入れる人はそう多くはいません。たいていの人は足早にその場を通り過ぎていきます。
しかしそんなとき、「一円でもいいですから」と言われると、つい「入れてみようかな」という気持ちが湧いてくるものです。いまどき一円では何も買えないし道端で落としたとしても気づかない金額です。「一円でも必要とするぐらい困っているのか・・・」と同情心が湧いてくるのです。
しかも、いざ募金するとなると「本当に一円でいいのだろうか・・」という気持ちが湧きてきます。「どうせだったら100円いれようかな」「今日給料日だったから500円にしようかな」といった気持ちが芽生えることもあるほどです。
これは、「一円でもいいですから」ととても小さな金額が頭に入ったことにより、寄付するという行為への心理的抵抗が薄れたためと言えます。
人間は、いったん心理的抵抗が緩和されると、求められた以上の負担にも抵抗感がなくなっていく生き物なのです。
これは、以下の日本の心理学実験でも立証されています。難病協会からきたという男女二人組が家庭訪問し寄付を頼むというもので、このときの頼み方を二通り用意。
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こうしてそれぞれ45軒ずつ訪問するという実験が行われたのですが、両者の結果には次の違いがみられました。
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1軒あたりの寄付金額には大きな差は生まれなかったが、応じてくれた軒数には倍近い差が生まれたのです。これは、「一円でも・・」と言われたことで、寄付に対する心理的抵抗が薄くなったからと言えます。そして、「一円でも・・」と言われながらも、実際は100円強の寄付をする人が多かったというわけです。
ただ、この「〇〇でも構いませんので」というときの金額はいくらでもいいわけではありません。この実験では、後日「100円でも構いませんので寄付をしていただけませんか?」と頼むケースも実行しました。
結果は「一円でも構いませんから」と頼んだケースに比べて寄付に応じてくれたお宅は激減し、「いくらでも構いませんので」と頼んだケースとほぼ変わらない結果となりました。これは「100円」という金額では心理的抵抗をなくすまでの効果はなかったからと考えることができます。
「〇〇でも構いませんので」と頼むときは、相手が「え!?そんなのでいいの??」と思うような内容に設定にすることが大事だということです。
これは実社会での状況でも同じです。好きな相手に対して、いきなり「付き合ってください!」と言っても相手がOKしにくい場合があります。そんなときは、「お昼ご飯一緒にどうですか?」「コーヒーでも・・」という比較的低いハードルを用意してあげることで、心理的抵抗を徐々に薄めていくと、後日、夕食→ドライブなどといった発展にもOKをしやすくなっていくものです。
仕事においても、いきなり「うちの会社と契約してください!」と言っても相手はOKしにくいものがあります。
最初は相手との距離を徐々に縮めて心理的抵抗をなくしていくことで、良好な信頼関係を築く第一歩になるのではないでしょうか。
頭のいい奴を説得するときはコレを使え
大手家電量販店の店員によると、お客様から家電の質問をされたときの答え方にはコツがあると言います。そのとき、「いま売れているのはこれで、お客様からの評判もすごくいいですよ」というと、その商品を買っていく人は案外少ないのだそうです。
ところが、「この商品は男性からの評判はいまひとつですが女性は良く買われていきますよ」だったり「専門機材にしては少々軽すぎる構造になってますが初心者の方にはとてもいいですよ」などと、あえてマイナスの情報を付け加えるほうが多くの人が買っていくのだと言います。
欠点を説明した方が売れるというのも変な話ですが、実はこれは人間心理をとても上手くついたセールストークと言えます。これについてはこんな心理実験が行われました。
学生を集め二つのグループに分けて、次の文章を読んでもらう。
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そして、それぞれのグループの学生に「どちらの文章がより賛同できる文章ですか?」と問いかけ回答してもらう。回答は、どちらのグループも大半の学生が「食事は三食とるべきだ」という文章に賛同した。
ここまではどちらを選ぼうが問題はなく、実験はここからです。
後日、両方のグループに先の内容に対する反論文を読んでもらい、そこからまたどちらに賛同できるかを問うと、初日にマイナスの情報をすでに与えられていた②のグループでは、意見を変える学生はいなかったが、マイナス情報を与えられていなかった①のグループでは、意見を変える学生が続出したという結果がでたのです。
始めにマイナスの情報も一緒に読まされた学生たちは、マイナスの部分を知ったうえでその内容に賛同しているので、その後も意見が揺るぐことはなく、始めにマイナスの情報は与えられなかった①のグループの学生たちは、新たにマイナスな情報を与えらえたことで、簡単に意見が変わってしまったのです。つまり、人間は初めにマイナスな情報を与えられている方がその意見や判断に確固したものがもてるということです。
しかし、このように先にマイナス情報を与えることで変わらない賛同意見を勝ち取るといったやり方は、誰にでも通用するというわけではないので注意が必要です。
この国がまだ戦時中だった頃、アメリカの情報教育機関が、実験対象者を教育レベルの高いグループと低いグループに分け、機密情報に対する信用度を比べるという実験を行い、プラスな情報のみを与えた場合とマイナスな情報も含めて与えた場合で、どちらがその情報を信じやすいのかを比較したのです。
すると、教育レベルの高いグループほどマイナスの情報を含んだ話を信じ、教育レベルの低いグループほどプラス情報のみの話を信じるという結果がでました。
営業やビジネスの場において、先にマイナス情報を与えることで変わらない賛同意見を勝ち取るといった心理テクニックを使う時には、相手を熟知しプラスマイナス情報の与えかたを使い分けることがポイントになってきますね。営業力が高い人は、相手のことを良く観察しているものです。
希少価値ほど有能な相棒はいない
いま私はインターネットを活用してWordPressで作ったこのサイトから記事を更新しています。いまでは生活の一部に欠かせないものとなったこのインターネットも、一昔前はそれはとてもとても希少価値が高く評価されていた時代がありました。ひとたびインターネットで調べた情報だと言うだけで、みんながその情報に飛びつき、信じたのです。
その情報が正しいものなのかも確かめずに。
当時はインターネットと言えば、本当に一部の情報感度の良い人間が使うもののように思われていたので、そこから得られる情報には、みんなが知らない情報でしかも役に立つ情報だというイメージがあったのです。希少価値というものが、インターネットのイメージをさらに膨らませていたと考えられます。
「人間は希少価値のあるものに対して高い評価を与えやすい」という心理は、こんな実験結果からも明らかになっています。
まず対象者を二つのグループに分け、クッキーを食べてもらうという実験です。
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そのあと、クッキーに対する評価をそれぞれの対象者に聞くと、3個入りの缶の中からクッキーを食べたグループの対象者の方が、よりおいしい高価なクッキーだと思い込み、また食べたいという感覚にまでおちいったのです。
これは、「3個しかなかった」ということが、そのクッキーに対して希少価値を認識しそれが高まった結果と言えます。人間は誰でも、欲しいものを自由に欲しいだけ手に入れたいと望んでいる生き物です。しかし、その希少価値の高いものを手に入れるのは少々難しい。なので時に人は、珍しいものに出会ったとき、特別いまは必要ではなくても、「いま買っておかねば!」と購入してしまい、そして安心するのです。
つまり、相手に対しそれが大切なものだと思わせるためには「これは滅多に手に入らない代物だ」と思わせるほかないわけです。営業シーンや接客などでは「本日入ったばかりの情報なんですが」「普段はここまでお話ししないんですけど」などと一言付け加えると、その情報の希少性はグンと上がります。結果相手はその話に耳を傾けるようになり、それを信用してくれることでしょう。
「今朝仕入れた直送本マグロ!」など魚市場でも多様されているこの心理テクニック、営業力の高いスタッフを抱える企業では、この”希少価値”を良き相棒として上手く使っています。
数字のマジックで切迫感を与えろ
電気屋さんや家具屋さん、あらゆる量販店の売り場で、あなたは「2000円」「10000円」というキリのいい値段を見かけたことはあるでしょうか。なかなかこういうキリの良い値段にしているお店は少ないはずです。これは「2000円」と表記するより「1980円」の方が安く見えることと、もう一つ大事な心理的効果を狙ったものがほとんどです。
「2000円」のモノを「1980円」で売り出すことで、「少しでも安く提供できるように頑張っていますよ!」といった印象を相手に与えやすくなるのです。また「10000円」の商品を値切り交渉で「もう少し安くしてよー!」と言われた時には、「んじゃ9000円!」というよりかは「んー、9200円!」という方が相手は、その200円という端数には何らかの意味があるのだろうと思い、無理を聞いてもらったような気持ちになります。
これは、会社内でもとても使い勝手がいい心理テクニックです。
「2時から会議を始めます」と皆を集めても、なかなか2時に集まらないものです。「2時」というキリのいい時間にしてしまうと、2時ジャストにはそこまでの意味はなく、そのあたりに集合すればいいという心理が相手には働きやすく、人によっては1時55分に来たり2時5分に来たりし始めます。仮に2時ちょうどに集まったとしても、資料を配ったり椅子を用意したりで、結局開始が2時10分になってしまうなんてこともしばしば。そしてそのことに対して誰も疑問をもたない企業も存在するほどです。
しかしこれが、「1時55分から会議を始めます」「2時13分から会議を始めます」というと状況はまるで変わってきます。「55分」や「13分」などと端数を付けられると、その端数に何らかの意味があるのではないかと思い込み、一気に緊張感が生まれるのです。「55分にちゃんと開始できなければ、なにか不都合があるのかもしれない」「13分まで始められないなにか理由があるのだろうか」とその意味をあれやこれやと考え始める参加者もいるでしょう。
どちらにしても、その時間に開始しなければならないといった切迫感がそこに生まれ、時間を守ろうという無意識の意識が強まるのです。営業における心理テクニックは、人間心理を活用してより効率よく潤滑に物事を動かすために使われます。ビジネスにおいての時間はお金と一緒です、このように上手く活用することで、あなたの営業力強化はもちろんですが、社員の意識改革の第一歩に繋がることは間違いありません。
BtoBとBtoCの詳しい解説はこちら↓
それでもダメならウソをつけ
人間というのは、極めて相手の言うことに左右されやすい生き物です。誰かいきなり天井を見ながら、「なにかいる」とでも言い出せば、実際は何も見えなくてもなにかそこに霊でもいるかのような不思議な感覚におちいるものです。また、自分はピンピンしているのに「具合悪そうだけど大丈夫?」「顔色悪いけど休んだら?」などと言われると、本当に体調が悪いような気になってくる。
こういった人間心理は、やり方次第でとんでもない大ウソを信じさせてしまうこともできるのです。アメリカでこんな心理実験が行われました。
7人の学生に色のついたスライドを順番に見せる色覚実験です。適当にスライドを何枚か見せた後、最後に青い色のスライドを見せて、「これは何色ですか?」と問う実験を行いました。ただし7人の中の3人は用意したサクラで、実際は残りの4人が対象者というわけです。
最後の青いスライドを見たとき、サクラは自信たっぷりに「緑です!」と答えます。実際の4人の対象者は、このサクラが言った自信たっぷりの「緑です!」に影響されて、青いスライドを「緑」と答える学生が出てきたのです。これを32のグループを作って行ったところ、対象者132人中13人が「緑」と答えました。全体の約9.8%にもあたる数字です。
それだけ人間は、相手から自信たっぷりにウソをつかれると、自分の意見にだんだん自身がなくなり、その意見に同調してしまう生き物なのです。化粧品売り場などで、「ご使用前よりもずっとお若く見えますよ奥様」などと思ってもいないことをたやすく言うのです。このときあと2~3人に同じことを言わせればもう勝負はありました。たいした違いなどないのにも関わらず、本人はその気になってその化粧品を購入していくでしょう。
この心理テクニックは、少々難易度が高いものではありますが、使い方によっては相手を意のままに動かすことのできる最終手段ですね。
用法・用量を守って正しくお使いください
解説した心理テクニックは、営業シーン・商談や契約の場・接客やセールス・店頭での戦略・社内の規則などさまざまな場面に活用できます。しかし使い方を間違えてしまっては本末転倒です。
本来、営業力とは人間力です。
そしてこの人間心理は変わることはありません、このテクニックが必要な状況にあなたが立ったとき、思い返すようにこの記事を読み返し、そして実際に相手を動かし、着実に身に着けていきましょう。